必ず顧客を想定した開発を心がけること

入社から現在まで総合研究所 機能材料研究グループに所属しています。同グループの主な業務は、既存製品のスケールアップ検討や工場で発生したトラブルの対応検討と、新製品開発です。私はこれまで主に大規模プラントへのスケールアップに関する検討を行ってきました。現在は、新製品開発の業務を担っており、新規化合物の合成とその物性評価を行っています。

新製品開発では、有望な化合物が得られた場合は、実際に顧客に紹介し、サンプル合成やそれに続くスケールアップ検討を行っています。スケールアップにおいては、小試では上手くいったことが、プラントでも良い結果が得られるとは限らないことを痛感しました。これらの経験を通して、研究初期段階においても常にスケールアップを念頭に置いた合成フローや処方を作成するようにしています。新製品開発においては、必ず顧客を想定した開発を心がけ、特にコストを意識した開発（原料価格・工程時間の吟味など）を行っています。

新製品開発における課題は、有望な化合物を見つけることが難しく、トライアンドエラーの繰り返しにより時間がかかっていることです。今後は、情報学に基づいた材料探索方法であるMI（マテリアルズインフォマティクス）を活用し、候補材料の確立の短期化を図っていきたいと思っています。