
会社の事業展開から組織づくりの領域まで
自身の成長にもつながる貴重な経験ができたのは
振り返れば東京本店への異動がきっかけだった
T.K.
経営企画部
工学研究科 化学応用工学専攻
2004年入社
HISTORY
入社後1ヵ月間の現場研修(製造二課)の後、総合研究所の機能材料研究グループに配属。
以後、触媒関連や液晶組成物の研究開発、高熱伝導樹脂原料の開発に携わる。
ターニングポイント 東京本店に異動となる。研究部門とは全く違う機能材料事業部で製品の開発営業に従事。お客様との交渉や新規顧客の開拓、社内の調整から運営までを担う。
機能材料事業部と経営企画部の事業開発室を兼務。その後、事業部業務と新事業開発業務を兼任する。
改組により開発部から先端材料部に異動し、ポリイミド材料等の新製品・新事業関連に主事する。
経営企画部の業務企画室に異動。各部署が立てる予算や中期計画のフォロー、これらを元に会社全体としてのプランの取りまとめなどを実施。経営会議にも加わることで事業全体を俯瞰してみることができる仕事の醍醐味を実感。
● 今後取り組みたいこと
・自分の仕事の領域に留まることなく、攻めの姿勢で事業部を大きくしていくことに関わりたい。
・中期経営計画で描かれたビジョンを実際に果実化していくため、課題や要求に対して確実に結果を出していきたい。
LOOKING BACK
これまでの歩みを振り返って
入社5年目の2009年に東京本店への異動の話があったときは、大学院まで化学応用工学を専攻していたこともあり、もう少し研究を続けたいという気持ちもあって迷いました。2009年ごろは新製品の事業化を加速させるために、東京本店で新製品開発に従事する人員を増やす方針から当時の事業部長からお声がけをいただき、折角の機会と捉え受けました。時には「流れに身を任せてみる」ことも大切なことだと考えているのと、入社から数年過ぎた29歳というタイミングもよかったのかと思います。
異動した事業部は、製品の生産に当たっての経済性、採算性、関係法令対応であったり、また販売見通しに従って生産計画をどう立てるか、部署間でどう連携して進めるかなど仕事のプロセスの理解や知識など、習得すべきことが目白押しでした。日々の業務を通じて勉強して一つひとつ覚えていきましたが、一通りのことを理解し自分のものにするには数年は掛ったでしょうか。その後、経営企画部業務を兼務するなどして、現在まで東京本店に16年在籍しています。
振り返れば、研究から事業管理、事業開発と幅広い業務に携わってきました。得ることのできた多くの知識と経験は、東京本店への異動によるところが大きかったと思います。会社の事業展開から組織づくりの領域まで、自身の成長にもつながる貴重な経験をすることができました。
MIND
仕事で心掛けていること
化学業界は社会動向とも連動しており、常に動きが激しく、いろいろなことが起こります。新しい製品を開発して、お客様の評価を経てスケールアップして生産量を増やしても計画通りには売れないことや、社会のニーズ自体が変化することも起こります。製造部門からすれば、営業を担う事業部門に対して文句のひとつも言いたいところかもしれませんが、「そのうち売れるよ」と言葉を返せる人間関係が出来上がっているのが弊社の持ち味でしょうか。事業部の社員のほとんどが研究開発職の経験を積んでいることも大きいですが、お互いが立場の違いを理解し、信頼のうえでコミュニケーションが取れているのは、社員数も多すぎない弊社ならではの特徴とも言えます。
会議をはじめ、部署間、社員会の話し合いはよく行いますし、職場仲間と飲みに行っても、結局、半分くらいは仕事の話になります。アイデアやひらめきは人と話しているときに出てくることが多いもので、お互いの情報交換はとても重要です。仕事で大事なことは、「人と人とのコミュニケーション」。自分の考えが的外れかどうか、人と話すことで正しい方向を自分の中である程度調整することもできます。そして、わからないことがあれば人に聞く。気兼ねなく聞ける関係を保つためには、普段のコミュニケーションが大切です。和歌山の工場や総合研究所へも月に一度は足を運び、現場の様子を自分の目で見て、現場の声を自分の耳で聞くようにしています。社員一人ひとりの小さな仕事の中に、将来のヒントがあると思っています。
大切だと考えていることとして、もうひとつ。「決まっているルールを疑う視点も大事である」ということです。ニュートラルな部分から再構築してみると、意外と突破口が開くことがあり、仕事にはいくつものアプローチがあることを気付かせてくれます。

仕事内容ががらりと変わるインパクトも強かったが
一方でメンタル面では新鮮な気持ちになれ
新しい意欲も湧いてきた
S.K.
製造部
工学研究科 化学工学専攻 2002年入社
HISTORY
開発製造課での実習ののち、技術部技術グループに配属。技術グループの基礎業務を学びながら、既存プラントの修繕工事、製造設備の定期修理工事や小規模プラントの改造など設計に携わる。
本格的な設備設計で大型プラント建設の設計検討、建設工事に携わる。プラント完工まで約1年の間に上司、諸先輩方から設計についてのイロハを教えてもらい建設工事の苦労と楽しさを学ぶ。
ターニングポイント① 2001年に合弁でドイツに設立したHi-Bis GmbH(ハイビス社)へ出向、海外建設OJTで特殊ビスフェノールの第二プラント増設工事に関わる。
帰国後は技術部技術グループへ復帰。ドイツHi-Bis GmbH(ハイビス社)第二プラントの運転支援を行いながら、新品目や既存品目の処方改良に伴う既存プラントの設備改造に携わる。
会社はこの年、創業100周年を迎えた。
ターニングポイント② 製造第七課へ異動。前までは設備を改造する側から改造をしてもらう側になり、製造設備全般の管理を担当する。
製造第七課のグループリーダーに就任。
● 今後取り組みたいこと
・所属部課で、一人ひとりの能力が発揮される組織作り、仕組み作りに貢献していきたい。
・将来また海外での建設工事があればドイツでの経験を生かしてプラント建設の施工管理をしてみたい。
・やはり技術系の仕事は好きです。製造管理の立場で得た知識、知見を生かして安全に、安心して運転できる製造設備へと改良を考えて行きたい。
LOOKING BACK
これまでの歩みを振り返って
2013年にドイツへ赴任するまで海外での生活はもとより渡航経験もなく、約1年半の滞在を通じて、現地のスタッフと一緒に仕事をする際の心構え、進め方などを知識として得た貴重な経験となりました。文化・習慣の違いから、日本人同士では敢えて言わなくてすむような内容でも、すべてを細かく説明、指導する必要があり、「報告・連絡・相談」の大切さも身をもって知りました。
入社時から関わってきた設備改良に携わる設計業務の仕事から一転、製造部門に移った19年目は私にとってもう一つの大きな節目だったと思います。仕事内容ががらりと変わるというインパクトも強かったですが、一方でメンタル面では新鮮な気持ちになれ、新しい意欲も湧いてきました。
和歌山工場内には多数のプラントがありますが、入社から数年後、2006年頃に大型プラントの新設業務を担当しました。実際に自分が機器を選定し、上司・諸先輩方に相談・指導いただきながら建設したプラントなので特別な愛着があります。現在も稼働しているので出退勤時、傍を通る度に気にかけています。
MIND
仕事で心掛けていること
技術部に所属していた際、仕事はひとりで取り組む内容のものが多かったですが、現在の職務では、製造プラント全体の管理、技術部門・間接部門との折衝、事業部との生産調整やプラントの運転業務を担う30数名のオペレーターの取りまとめなど、チームで当たる業務に関わるものへと大きく変化しました。携わる人が多い分、調整も複雑になり大変ではあるものの、責任あるやりがいを感じています。
チームワーク、コミュニケーションの大切さも日々実感しています。協力会社とのやり取りも含め、得られた情報をチーム内で共有することも欠かせないことです。製造に移って3年。まだまだ学ぶこと・教わることも多く、試行錯誤は続いています。技術革新に合わせ高度化、多様化するニーズや、高い品質要求にも応えていくために、より良い製品作りや安全に生産が行える製造管理を行っていきたいという思いは益々大きなものになっています。
そのために必要となるのは、チームを構成するメンバー一人ひとりが、いかに能力を発揮できる仕組みを作れるか、気持ちよく働けるコミュニティを作れるかです。困難に直面したときであっても、上司であれ部下であれ話しやすい環境と、皆が協力しあえる雰囲気を普段から築いていくことを一番に考えています。どんな職場にも言えますが、仕事のやり方一つをとってもスピードを最優先で考える人、丁寧さが持ち味の人などさまざまなタイプの方がいて、それぞれに良い点があります。製造管理に携わる現在、誰もが忙しくなりすぎないよう、より働きやすい職場、会社にしていくのが私の役目だと思っています。

社会人の成長には新たな人との出会い
環境や仕事内容の変化も大きく関わってくると思う
A.N.
化学品事業部
総合理工学部 物質科学科 化学専攻
2003年入社
HISTORY
総合研究所電材研究グループに配属されフォトレジスト材料の新製品開発にあたり、ラボからベンチプラントへのスケールアップも経験する。
総合研究所技術開発グループへ。前職とは一転、製造現場に近い研究に携わる。増強されたプラントの安定製造サポート、更なる効率化のための新プロセス開発を担当する。
ターニングポイント 東京本店の機能材料事業部開発部へ異動。新製品の開発、製造、販売等の業務に携わる。
経営企画部業務企画室へ配置替えとなり、海外子会社(ドイツ・Hi-Bis GmbH社)で製造される製品、およびその事業全般に関わる業務を担当。2017年以降は業務企画室の業務内容追加に伴い、経営会議運営、会社予算作成、予算管理やIR関連業務も行う。コロナ禍でのテレワーク環境整備にも携わる。
機能材料事業部の先端材料部(元開発部)に配置換え。24年3月末まで経営企画部の事業開発室を兼務。経営企画の経験を活かし、主にポリイミド用材料の新製品開発等事業部の業務に携わる。
7月、化学品事業部 化学品部長に就任
● 今後取り組みたいこと
・つい最近、新しい部署へ異動したが、2つの事業部を経験できるケースはあまりないので、機能材料事業部と化学品事業部のそれぞれのいいところを双方に発信していきたい。
・会社の基盤事業に携わるものとして、会社をより強固なものにするため、事業拡大に注力したい。
LOOKING BACK
これまでの歩みを振り返って
入社して6年目に、当時の事業部長から東京本店への異動をお声がけいただき、以来15年間本店に所属しています。それまで自分が取り組んできた仕事とは畑違いの内容となるため、苦労は覚悟のうえで挑戦しました。事業部の仕事は、社内の研究開発部門や製造現場の関係者だけでなく、お客様も含めた多くの方の考えや思いを汲み取り、更に自分の考えも折り込みつつまとめ上げていくことが大切だと考えています。お客様が必要とする製品を提供するのが最終的な目的ですが、それを実現するにはさまざまな調整が必要で、一つひとつの課題に対して解決策を見つけていくのは想像以上に大変です。その分、成功したときの喜びもひとしおです。
異動から5年後に移った経営企画室では、在籍中の8年間に7人の上司が代りました。仕事のやり方や考え方はそれぞれでしたが、皆さん素晴らしい方たちで、多くを学ぶ貴重な機会となりました。また社長の仕事を間近で目にし、和歌山工場や総合研究所でも普段はなかなか接点を持てない現場のトップや経営層の方と直接と話ができたことも得がたい経験でした。
異動後の仕事は自分にとって大きなチャレンジでしたが、やはりトライしてよかったと思います。総合研究所に勤務していた頃は、毎日自分の研究テーマをこなすことだけ考えていましたが、今は仕事が回り自身も含めた社員とその家族のために給与をしっかり支給できるだけでなく、仕事にやりがいを見つける、提供することも大切なこととして頭にあります。事業部に入ったとき、上司から「しっかり稼がないといけない」と叩き込まれたことと、経営企画室で経営者の近くで見聞きした経験が私の中で大きな財産になっています。
MIND
仕事で心掛けていること
仕事はひとりではできません。これまでも、部署内だけではなく仕事に関わる方、各々が納得して進むことを第一に考えてきましたし、これから先も大切にしたいと思っています。皆が気持ちよく働けるように、できるだけ話を聞く、考えを打ち明けてもらうようにすることも心がけていることの一つです。愚痴も含めて、たくさん意見を聞かせてほしい。そして話すことで頭が整理され、プラス思考に転じられれば言うことはありません。
入社して初めて自分の担当した製品を工場で製造してもらったときは、自分の考えた製造方法が本当に製造現場で通用するのか緊張した覚えがあります。上手くいったときはホッとしましたが、必ず上司や総合研究所のチェックが入っていたので常にひとりではないという安心感がありました。そういう存在であることも大切だと思っています。
社会人の成長には新たな人との出会い、環境や仕事内容の変化も大きく関わってくると思います。これからも、新しい領域にチャレンジしていける機会を増やしていきたいと思います。

尊敬する先輩方がいろいろな部署を渡り歩いていることを知り
異動はマイナスなことばかりではないと捉えられた
Y.H.
製造部
工業化学科 1992年入社
HISTORY
開発製造第一課にプラントのオペレーターとして配属。のちにコア事業のひとつとなる電材関係の原料製造に当たり、同課の各プラント運転も経験。新品目の生産に携わる楽しさを知る一方で、モノづくりを製造現場でブラッシュアップさせていくことを覚える。
ビフェノール製造専用のプラント建設のために発足したNBP建設班にオペレーターとして配属。のちに製造第二課でビフェノール製造のプラント運転に従事する。
ターニングポイント
新設プラントにおけるビフェノール製造連続運転の実現に向けて、試行錯誤、葛藤した時期。4名1班のオペレーター業務で班を預かる責任ある職長としてリーダー的存在になることを意識する。
業務外では、労働組合の執行役員も務める。
製造第二課BPグループ班長に就く。どのようなときもグループ員の士気が高まるよう取り組む。
オペレーター業務から日勤スタッフに変わる。原料の調達、改造・修繕工事の準備、工場進捗の管理を担当する。
管理専門職能に就く。ビフェノールの需要拡大を受け、プラントの生産能力アップのため多くのテストを実施。安定運転の大切さも痛感した時期。
製造第二課SBグループのグループリーダーに就く。グループ全体のマネージメントと同時にビフェノール増産計画にも参画。
● 今後取り組みたいこと
・将来を見越した新しいプラント製作に携わりたい。
・今以上に会社の経営に関わっていきたい。
LOOKING BACK
これまでの歩みを振り返って
プラントのオペレーターとして入社しました。これまで劇的な出来事があった訳ではないのですが、オペレーター業務で班長となり、交替勤務から日勤スタッフに移り、管理職の試験に合格し、一歩一歩進んできました。
入社当時は、担当するプラントが5つくらいあって覚えることが多く精一杯でした。仕事が楽しいと思えるようになったのは5~6年経ったころでしょうか。オペレーター職はあまり異動を好まない傾向があるように思いますが、2001年に製造第二課へ異動の話があった時は、尊敬する先輩方がいろいろな部署を渡り歩いていることを知り、異動はマイナスなことばかりではないと捉えました。私が頑固なところがあり、あまり周りに流されない性格なのをよくわかって、やさしく指導してくれる先輩方が多かったように思います。
2002年からコピープラントでありながら運転には苦労した2BPプラントや、ビフェノール製造の新しいプラント稼働に、オペレーター全員で習熟に励んだことは大きな節目となりました。なかなか連続で運転することができず、どう運転すればいいかを来る日も来る日も全員で考えました。
その後も製造部署での勤務が続き、グループ班長、管理専門職能を経て、2023年に製造第二課SBグループのグループリーダーに就きました。今の製造二課を取りまとめ、自分が思う人間関係や仕事の仕方などが実現できるように努力しています。
MIND
仕事で心掛けていること
今までの上司を含め、やるべき業務であっても「ありがとう」と感謝の気持ちを言ってくれる人たちが私のまわりには多くいました。「感謝することの大切さ」は本に書かれていたり、弊社の研修やセミナーなどで勉強したりして仕事に生かしている先輩方もいましたが、私自身も職場での実践を大事にしました。「ありがとう」という一言で、モチベーションを上げて気持ちよく次の業務へ進むことができた経験があったからでした。
同じことを毎日繰り返すよりは、新しい品目を製作できる機会は楽しいものですが、特にまだ誰も知見や経験がないものを作る現場では観察した内容を事細かにメモすることを心がけました。これは、総合研究所へ研修に行った際に、観察してチェックした物事を、記録することの重要性を知ったからです。そして日勤の方に報告すると「こんなのがほしかったよ」と喜んでもらえたのが仕事の喜びになり、改善や進歩につながっていく実感が芽生えていきました。記録を取ることは、オペレーション業務をスムーズに進めるためにも重要で、一緒に働いている仲間の安全に、効率的な仕事にもつながるという思いが根幹にありました。
新しいプラント作りにも挑戦してみたい、とも思っています。大変な苦労はありますが、完成時の喜びをもう一度味わいたい。経験と技術を、確実に次世代へつないでいきたいという思いもあります。

管理職になり他部署やお客様と接する機会も一気に増え
仕事の幅も広がり、多様な視点から物事を考えるようになった
M.O.
総合研究所 開発研究グループ
システム工学研究科 2005年入社
HISTORY
開発製造課に配属。製造(プラントの運転業務)に従事。約1年半の研修で研究開発と実機で製造することの違いを学び、実機プラントを想定した研究開発や部門間のコミュニケーションの重要性を強く認識する。
総合研究所機能品研究グループへ。大学で専攻した無機化学とは異なる領域で不安はあったが、先輩方の丁寧な指導を受けることができた。
総合研究所の開発研究グループに配属となり、以後9年間新製品の開発、スケールアップに従事する。
ターニングポイント 研究開発職に席を置きつつ管理職の立場にもなり、新製品開発に取り組む中でより多くのお客様と話をする機会を得て、コミュニケーションの大切さを再認識する。
総合研究所開発研究グループのグループリーダーに就く。着実、効率的な研究計画の遂行や円滑なグループ運用を日々考えながら新製品開発に取り組んでいる。
● 今後取り組みたいこと
・人々の役に立ち、社会課題の解決や利便性の向上につながる製品を創り出していきたい。
・自分やチームが研究開発に関わった製品をより多く世に出していきたい。
LOOKING BACK
これまでの歩みを振り返って
入社して2年が経ったころ、ある新製品のスケールアップ(研究の少量スケールで造っていたものを工場の大容量スケールで造ること)を任されました。スケールアップが上手くいかず悩んでいると、先輩たちが集まってくれ、その協力もあって問題となっている点を解決してトラブルを回避できました。このときのことが強く心に残り、グループリーダーになった今、困った時や大きな課題に直面した時はグループで共に協力して助け合うことを意識しています。先輩方が残してくれた良き慣習を、この先も残していきたいと思っています。
これまでの経歴で大きな節目となったのは2017年。広い領域での判断が求められ、より大きい仕事に挑戦してみたいという思いから試験を受け、管理職になりました。他部署やお客様と接する機会も一気に増えて仕事の幅も広がり、多様な視点から物事を考えることを意識するようになりました。
MIND
仕事で心掛けていること
入社2年目、総合研究所機能品研究グループに配属された際は、大学の専攻とは異なる分野だったこともあり、実験の手法、アプローチ、初めて目にする機器や装置もあって不安もありました。わからないことがある度に何度も質問をする私に、付いてくれていた先輩は自分の仕事が忙しくても細かいことまで丁寧に答えてくれました。仕事はチームで動くことがほとんどですので、コミュニケーションを密に取り、こまめに相談することを大事にしています。チームで仕事を進めていく中で自分の考えや思いを伝えることも重要ですが、ほかの人の意見をしっかり聞いて、その人の考えと自分の考えとのバランスを取るように心がけています。
研究開発の仕事は、自分で仮説を立て、試して、上手くいかなければまた考えることの繰り返しですが、仮説通りの結果が導き出された瞬間が面白く、「予想通りできた」という達成感が大きいです。私自身、秀でた才能がある訳ではなく、一つひとつ努力を積み上げていくことが大切だと考えていたので、諦めないで続けていくことで技術も少しずつ身に付いていきました。日の目を見ない開発品も多いのが研究開発の世界ですが、手探りの中で新しい知識や技術を見つけられたときの喜びは大きく、世の中をより豊かに、より便利に変えるような新しい価値を生み出していく場でもあります。周りの人たちと協力しながら、これからも社会に貢献できる新しい製品を開発していきたいと思っています。

同じ場所で立ち止まっていては進歩や発展は望めない
とにかく前へ進むことが大切だと思う
K.Y.
総合研究所 機能材料研究グループ
システム工学研究科 システム工学専攻
博士(工学)2009年入社
HISTORY
総合研究所の開発研究グループに配属となり、新規開発案件の合成検討や、新規開発案件の工業化検討および試作フォローに携わる。
総合研究所の機能材料研究グループへ。新規電材品目のスケールアップ検討および試作フォロー、新規開発案件の合成検討、既存生産品に関する品質安定、原料変更による品質影響確認を担当する。
ターニングポイント① 東京本店の機能材料事業部電材部へ異動。電材部既存品目の販売や拡充、海外輸出業務を含む新規事業開発に携わる。さらに特殊原料の調達、製造スケールアップ案件や本店サイドの生産計画の取りまとめ、化審法・安衛法などの法対応、顧客監査対応などにも当たる。
約3年の東京本店勤務を経て、総合研究所の機能材料研究グループへ異動。以前の業務に戻り、主に新規開発製品の研究およびマネジメントにあたる。
ターニングポイント② 機能材料研究グループのグループリーダーに就く。
● 今後取り組みたいこと
・グループリーダーとして、チームをまとめて新しい製品を生み出していきたい。
・研究、営業と経験を積んできたので、次は製造の現場や化学品管理など新しい分野にトライしてみたい。
LOOKING BACK
これまでの歩みを振り返って
未知の分野に飛び込むことや、新しいことを始めるのはあまり苦ではありません。逆に変化による気づきを面白いと感じます。自ら新しいことを始めるにはエネルギーが要りますが、会社から新しい環境を与えられるのはいい機会ですので、東京本店への異動もそう捉えました。入社5年目からのあの3年間はかけがえのない日々で、そこで積んだ経験は今の仕事の基盤になっている気がします。考え方や仕事の進め方の部分で、例えば会社がどこでお金を稼いでいるのか、事業化して売るにはどうしたらいいかなど、全体の流れを見ての仕事はそれまでとは全く違うものでした。視野が広がったいい経験で、違う視点で学べたのが大きかったです。キャリアの築き方は人によってさまざまでしょうが、所属部署が変わる、変わらないに関わらず、同じ場所で立ち止まっていては進歩や発展は望めません。とにかく前へ進むことを意識しています。
東京での仕事は大変でしたが、お客様とたくさん話ができて、ネットワークも広がりました。入社から数年間の和歌山にいたときは、お客様に会いに行くことはほとんどなかったのですが、東京勤務を経て和歌山に戻ってからは、わからなければ聞きに行くなど積極的に出向くようになりました。そうすることを特別に思わなくなって、研究の武器にもなりました。やはり大切なのは、人とのコミュニケーションなんだと思います。お客様だけでなく、社内の人ともよく話をして、思いやりをもって接すれば、困ったことがあっても助けてもらえたり、ヒントをもらえたり、おのずと解決の糸口は見つかります。
MIND
仕事で心掛けていること
うちの子どもたちにしてみれば、私は理科の実験をしている人です。白衣を着て試験管やフラスコを振っている博士のイメージです。何を作っているのか聞かれると説明に困りますが、「スマホなどの身近なものにも使われているよ。工場で作っているのは粉のようなものだから何の役に立っているかなかなか判りづらいけど、実はそれがないと丈夫な製品やきれいなものが作れない。見えないところで世界を支えているんだよ」と話します。自分の関わる製品が、世の中にどう役立つかを考えるようにしています。
東京本店の勤務経験で、仕事の量と質、思考の変化から、スピード感も増しました。技術変化のスピードは速く、お客様との約束もありますし、総合研究所の業務も効率的に行わなければなりません。今、私のグループは入社して5~6年の20代と30代前半が大半で比較的若いチームですが、私が求めるスピードにもよくついてきてくれています。みんな真面目で、それぞれがよく考えて行動する頼もしいメンバーです。グループリーダーになる前は、すぐ上に上司がいて守られていたことを実感しますが、今のポジションでの上司は研究所の所長になるので、私の判断で決めなければならないことも増えました。これからの経験が何年か後に振り返った際、きっとまた一つのターニングポイントになるのだと思います。日々の仕事で精いっぱいですが、すべてに真摯に向き合ってやっていこうと思います。

新製品を成熟させていくのは簡単なことではないが
課員含めた関係部署と連携しながら取り組み
製法を確立していくのがモノづくりの醍醐味
N.M.
製造部
化学工学科 1997年入社
HISTORY
オペレーター志望での入社だったが総合研究所電材研究グループに配属となり、顧客要望のサンプル合成を担当。
総合研究所の化成品研究グループへ異動。大型プラント製造製品の合理化研究の一員に加わりスケールアップとは異なった視点でモノづくりの面白さを知る。
総合研究所のプロセス研究グループへ異動。
ターニングポイント① 計算シミュレーションを用いたアプローチを学び、新たな手法を得て仕事の幅が広がる。
組織改正で開発研究グループへ。翌年、管理職に昇進し、開発研究グループの課長職に就く。
組織改正で生産技術研究グループのサブグループリーダーとなる。のちに製造二課へ異動となりグループリーダーに就く。合理的な研究開発、製造のための検討や新技術導入にも取り組む。
ターニングポイント② 管理職3名体制として開発製造課の副課長に異動となり、グループリーダーも兼務する。
開発製造課の課長とグループリーダーを兼務する。
● 今後取り組みたいこと
・会社として進めているDXを推進し、製造現場の情報をいち早く共有し活用できるようにしたい。
・製造オペレーターが現場のグループリーダーや課長になれるような土壌づくりをしたい。モノづくりの目線を活性化し、本州化学工業の製造技術を現場力で向上させることに取り組みたい。
LOOKING BACK
これまでの歩みを振り返って
「どんな仕事でも自分が担当することに意味がある。折角の機会を与えられたのであれば、より良いものを作って成果を残したい」と将来ありたい姿を描いて入社しました。配属された総合研究所ではお客様が要望するサンプル合成が中心で、実験操作に加えて計画やデータ整理、報告書作成など研究業務の習得に懸命でしたが、上司や先輩方の的確なアドバイスとフォローのおかげで着実にスキルが身に付いていきました。自らの仕事の幅と深さが増していくことを日々実感しました。
20代後半からの10年間で研究部署もいくつか変わりましたが、製造に関わる合理化研究や安全設計など、大型投資案件に由来する検討業務などに携わりました。スケールアップ時に既存データだけでは現象を説明できないこともあり、「事実と考えを分け、事実(データ)の部分を整理してから議論する」という教え方を得たのもこの頃で、これは今も大切にしています。また他社との共同研究で計算シミュレーションの方法を学び、お客様に製品をより早く届けるために必要な知識を得たことは、仕事の進め方の面でひとつの転機になったと思います。2016年に製造へ移ったときも、仕事のやり方は大きく変わりました。研究で蓄積してきた知識や経験をもとに、既存品の合理化検討や新製品のスケールアップなどを行っていきました。プラントのオペレーターも一緒になり、製造・研究・技術・事業部が一体となって新しいことを始める度に、弊社の原点であるパイオニア精神で奮闘しています。
MIND
仕事で心掛けていること
私はこれまでこの会社で、年齢、役職問わず多くの先輩方から指導を受け、知識を得て、経験を積み成長することができました。社員一人ひとりの成長は結果として会社の発展にもつながることから、人が成長する上で、環境はとても重要な要素だと思っています。現在は、教える側の立場になり、各々が持っている知識、能力や才能を最大限発揮して納得のいくモノづくりに取り組める環境を整えられるように、本を読んだり社内の研修会に出たりして学んでいます。行きつくところ、やはり会社は人です。良いモノを作ろうと考えるたくさんの人が集まっている本州化学工業は、皆が協力的で、同じ目線で仕事に向かっているという安心感があります。
4月から課長になって管理業務が主となり、50数名を率いるようになりました。新製品を安定生産できるまで成熟させていくのは簡単なことではありませんが、課員含めた関係部署と連携しながら取り組み、製法を確立していくのがモノづくりの醍醐味です。その思いを感じながら働ける人を、少しずつ増やしていくことが、今の自分の役目だと思っています。
高校生時代、センサーを搭載させた「自立型相撲ロボット」を製作するクラブに入っていました。金属の板一枚から作り上げていく共同作業の中で、私はプログラミング担当でした。皆で試行錯誤しながら作る楽しさが、私のモノづくりの根本にあります。製作で大切だったのは「気づき」でした。これまで多くの発明がそこから生まれたように、「気づき」を大切にすれば、成功という未来は自分で創ることができる、そう信じています。

新しいことへの積極的なチャレンジと
ひとつのことを長く続けることで得られる経験値で
人は育つものだと思う
T.K.
総合研究所 基盤技術研究グループ
自然学類 化学専攻 1998年入社
HISTORY
開発製造課実習ののち総合研究所化成品研究グループに配属。新製品合成の検討業務にあたる。
新製品の合成検討、サンプル対応、出願に携わる。
ターニングポイント① これまでの業務と並行し新プラントの試運転フォロー、運転安定化の対応にあたる。以降、既存品のプロセス改良検討、既存品のコストダウン検討とプラントの運転安定化等にも携わる。仕事上でのモノの見方が変わった時期。
総合研究所のプロセス研究グループに配属となる。既存品の新規プロセス検討を他社と共同研究。既存品のコストダウン検討等の業務も担当。
総合研究所の開発研究グループに、サブグループリーダーとして配属。既存品新プラント立ち上げ時の運転安定化と生産能力確認、生産技術の見直しと深耕にも携わる。
ターニングポイント② 総合研究所の生産技術研究グループのグループリーダーに配属となり、スケールアップ製造技術を体系化する作業の立ち上げに関わる。
生産条件の最適化を図るため、プロセスシミュレーションの活用を検討。
分析研究グループと生産技術研究グループとの統合による基盤技術研究グループに、グループリーダーとして配属される。
● 今後取り組みたいこと
・新規技術やシステムの導入など生産効率をより高める方法を考えていきたい。
LOOKING BACK
これまでの歩みを振り返って
研究所の仕事と聞くと「新製品の開発」のイメージを持たれる方も多いと思いますが、「既存品の改良」も担当する業務のもう一つの大きな柱となります。私は入社以来、主に既存製品を取り扱う部署で、コスト競争力や品質の向上、安定した生産性に結び付く製品改良に携わってきました。経歴にあるように所属部署はいくつか変わりましたが、仕事の内容を振り返ると大きくは変わっていません。製品改良の業務は、化学や化学工学の知識に加えて経験値も大切になってくるため、入社してすぐ担当するにはハードルの高い分野です。私の場合、配属された当初は目の前の事象にとらわれ、取り組んでいる業務の意図することや全体像がしっかり掴めなかったのですが、先輩方のそばで学ぶ中で次第に物事を定量的に捉える力が付きました。何が起こっているのか理解して考えられるようになり、判断できると実感したのは、入社して4~5年目のころだったように思います。
2016年に配属になった生産技術研究グループでは、部署間で共有されていなかった社内のスケールアップ製造技術を体系化する作業の立ち上げに関わりました。以前から私は小スケールでの実験結果をプラントで再現するため、改善案を出すときはできる限り理論からアプローチすることを心がけていました。合理的なスケールアップを図るうえで、社内での体系化は以前から課題と考えていましたが、会社の方針とも合致し、体系化の作業を立ち上げてデータを取りまとめ、今では相談も受けるようになりました。
MIND
仕事で心掛けていること
仕事を進めていく上で大切にしているのは、「物質収支」と「理論」です。課題に対して、仮説を立てて実際にやってみても、思っていた通りの結果が出るとは限りません。現場で起こっている現象についてまず、物質収支から事実関係をしっかり確認すること。そして、事実を元に仮説を立てて検証し、現象を理論的に理解することです。手順や結果を振り返り、しっかり検証を行ったうえで、次の改善策を考える。このように仮説と検証を繰り返しながら、精度を高め、高品質の製品を生み出していくことがプロセス検討の醍醐味でもあり、面白いところでもあります。
グループリーダーの立場としては、メンバーには新しいことに積極的にチャレンジしてもらいたいと思っています。私自身も若いころ、チャレンジしたことに対して先輩方から怒られた記憶がほとんどありません。新しいことに失敗は付きもの。成功したときのうれしさを積み重ねていってほしいです。もう一つ、継続する力も重要です。ひとつのことを長く続けることで得られる経験値で人は育つものだと思いますし、継続して頑張る人材を大切にする会社は成長するものだと考えています。
私自身は既存品のレベルアップを通じて、この先も技術力を向上させていきたいと思っています。